ごあいさつ

2011年にたった50本のカベルネ・ソーヴィニョンを植えたところから始まった、夢のワイナリーへの道。
ワイナリーをつくった理由が3つあります。

ひとつは、自分の探求心のため。
2008年にソムリエの資格を取得しましたが、独学で受かってしまったため、実は葡萄のこともワインのこともよく分かっていませんでした。
それなのにお店でイタリアワインを出しては、「これは産地がAA、造り手がBB、葡萄品種はCC、、、」行ったこともこともないし、会ったこともない方のワインを紹介して「美味しい!」と言われ満足し、長野のワインは「DDワイナリーは標高が高いので酸が、、、樹齢も高いので複雑味が、、、」など、解った風で話していていました。
お客様から解らない質問をされると、裏へ行ってスマホで調べて説明。
とても薄っぺらい人間、こんなんじゃダメだ。もっときちんとワインのことを知らなくちゃ。ちょっと調べればテイスティングコメントまで飲まずとも語れるような時代だからこそ、リアルを感じて伝えたい。
そのためには畑で苗を植えるところから、瓶に詰まるまでの全部を知りたい。やってみたい。
ちなみに造りを始めたらますます解らなくなりましたけどね。


ふたつめは、仲間家族のため。
飲食業は利益が出にくく、なかなか過酷な業種だと思います。
ただ、原価率を下げ利益の幅を大きくしたり、今以上の店舗展開をして広げると自分たちが目指す料理やお店できない。
今スタッフは20~40代でがむしゃらに頑張ってはいける年齢だけれど、長寿の時代を迎え何歳まで働くかを考えたときに「労働時間=収入」である飲食業だけで続けて行くのは難しいんじゃないか。
ワインは初期投資が大きく大変なことも多いけれど、ブランドを確立できれば永く続けられる産業です。
しっかり地に足をつけて台地を耕すことから始め、人として企業として成長して仲間と家族を守っていきたい。


みっつめは、日本ワインの文化のため。
「ワイン」というと「難しいから」といって飲んでくれない人もいます。
世界に比べると日本はワイン後進国。特にブドウ栽培、ワイン生産に関してはようやく黎明期を越えた当たりといったところではないかと。
ワインは1本何十万円の超高級ものもあるけれどそれは一部で、その土地でとれた外に出ることのない地ワインが、当たり前に家庭のテーブルにあります。
そんな文化をつくれたらと思ってます。
そのために気軽に楽しめるイベントをソムリエとして飲み手側として企画しきましたが、今後は造り手側の立場としても発信していけるようになりたい。
何年かかるか分からないけれど、ワイン業界の仲間とともに日本ワインの一つの時代をつくり、次に繋げていきたい。
そして日本酒などお酒の仲間も、飲食の仲間も、一緒に食文化を築き、“美味しい”で幸せをつくれるようになりたい。


「葡萄は自然相手だし、ワイナリーはお金がかかるし、大変でしょ。」ってよく言われます。
はい!その通りです(笑)
でも大変な方がおもしろいし、自分からワインを取ったら特にコレといったものは持ってないし、この道を信じて進み、目標でもある「関わっていただいた方をHAPPYにすることで、その方の大切な人もHAPPYにできるような人間になりたい」と思っています。